この展覧会チラシを手にしたときは、「ああ、ここに戻ってきてしまった」とクエイ兄弟の作品を見た10代の自分に戻ってしまった。そして、展覧会鑑賞後、正直、最後のほうで泣きそうになった。
岡崎市美術博物館へ。
美術と博物と一緒?の施設なんだろうか。一つの山がスポーツと文化施設と一緒になっていて、車でないといけない場所にありました。
双子のクエイ兄弟の一から十までを資料と作品で追う展覧会でした。幼児の頃、二人が自宅の階段の前に座り、その隣でお母さんが畑を耕している様子の写真が、なぜかとても印象に残りました。
クエイ兄弟の映像作品の「セット」も展示されていて、「ああ、こんなふうにして制作していたんだな」と十分に想いを馳せられる数々。映像の上映では、悪女はきっと飽きるだろうと思っていたら意外にも「一番面白かった」と感想。なんのオチもないし、哲学的な部分を感性的な部分がぶつかる見た目にくらーい作品なのに、わりと世界観は子どもに通じるようです。
「ストリート・オブ・クロコダイル」のセットもありました。
撮影禁止だったので、作品の紹介は以下より。
https://www.cinra.net/news/20170528-thequaybrothers
90年代はクエイ兄弟の話を聞くことも多かったんだけど、私も少し映像方面から離れたからか、あまり聞くことがなくなって。それで今回の展示で。ほんと、最後の最後、ガタっとなりました私。
クエイ兄弟は、確かにヨーロッパで活動をしていて、その活動の場が「舞台」、「舞台装置」、劇場の舞台美術を手がけていたのです。2016年には、王立カレ劇場(アムステルダム)で『世界の劇場』という舞台を演出していました。このときの様子は、単なる記録写真展示でしたが、もう、写真からもわかるくらい、いい!相当の存在感、この舞台絶対面白かっただろうなあ!とヒリヒリきました。
泣きそうになったのは、私がこの情報(クエイ兄弟が舞台美術をしていたこと)をキャッチできなかったこと。あるいは、こんな東の端っこの小さな日本という国には、ヨーロッパのリアルな情報が届かなかった、という残念さ。英語や現地の言葉で分かればインターネットでも拾えたかもしれません。カレ劇場のことはなんとなく聞き及んではいたものの、まだその世界は私には未知すぎて近寄れない。しかし、このような世界芸術があって、欧州ではそれを享受できる。知りたい触れたいという欲があります。
クエイ兄弟がまだまだ現役で、しかも活躍するフィールドが私の思ってもみない場所にいて、そこにまだ追い付けない甘さが自分にあって。相当のレベルで仕事(作品)をしていることを見せつけられました。私の誕生月にこれ気づかされるなんて。エグルね、さすがクエイさん…。
美術博物館の入り口にある作品。座って目をつぶるように、という指示だったので悪女さんを促す。
実は座っている椅子の上にも椅子が。相当な高さの椅子。
作家は、マリーナ・アブラモヴィッチ。「人間と精神のための椅子」1996年。素材が鋼と電気石とありました。電気石って何だろう。
傷心な私をよそに、次へ向かいます。