田原町駅が取り壊されることになった。
木造の建物、通学生にも通勤客にも、それはとても普通の建物だった。
古びた木造は味がありますね、といえばそうかもしれない。そのとおりだ。そうだろう。
だけど、それは気にとめないほど、私達には日常だった。
「取り壊されるんだって」 そう聞くと、とたんに日常は郷愁を帯び始める。
そうか、なくなるのか。だから?という人もいるし、なんだか残念だなと思う人もいる。
残念とおもうのは何故だろう。残念だけど致し方ない、古いもんね。そうだね。
町が変化する。そのために駅は壊される。木造の、味のある駅舎であろうとも、容赦なく。
残そう!運動は起こるのだろうか。そうだね、起こったら残ればいい。残したらいいよ。
残らない駅舎。残るのはここを利用したことのある人の脳裏のみ。
町の文化、町の変遷とはそんなものだとおもう。記憶にのみ残る。
それは田原町だけの話ではない。